独身貴族、とだけ聞くと、貴族という言葉がついているだけあってなんだか優雅で華やかなイメージですが、結婚をしていない独身の人がみんな独身貴族というわけではありません。
実は「独身貴族」と呼ばれる人達には、出会いがなくてまだ結婚をしていない、結婚願望はあるけれどまだ金銭的に余裕がないといった理由で独身生活を送っている人たちとはちょっと違う特徴があるんです。
今回はそんな独身貴族とはどのような人を指すのか、そして独身貴族でいるメリット・デメリットなど、独身貴族の本質を深く掘り下げていきます!
独身貴族とは?
独身貴族という言葉を簡単に説明すると、結婚をせずに独身生活を謳歌している人のことをいいます。最近では「おひとりさま」とも呼ばれているようですね。
そんな独身貴族について、もう少し詳しく調べてみました。
独身貴族はどのくらいいる?
総務省が5年ごとに行っている国勢調査(令和2年)によると、30~34歳男性の未婚率は46.5%、35~39歳男性の未婚率は34.5%。30~34歳女性の未婚率は33.7%、35~39歳女性の未婚率は23.3%という結果が出ています。
30代ではおよそ4割の男性、3割の女性が独身で、30代の平均年収が400万円~480万円であることから、その年収を全て自分のために使って暮らしていける独身貴族の割合はかなり高いことが伺えます。
独身貴族って男性だけ?
かつて「独身貴族」とは独身男性のことを指す言葉であるとされていました。
ひと昔前まで25~30歳くらいの結婚適齢期と呼ばれていた年代を過ぎた女性は「いきおくれ」「売れ残り」などと言われたり、両親や親戚から見合いの話を勧められたりと、女性は結婚をして家庭を守るものという常識がまかり通っていました。
そのように社会自体が結婚をせず、独身生活を楽しんでいる女性を受け入れる風潮ではなかったため、男性だけが「独身貴族」と呼ばれていたと考えられます。
しかし女性の社会進出が進んだ現代では、バリバリ働いてキャリアを積み、高収入を得て独身生活を謳歌している独身貴族の女性も少なくはありません。
独身貴族の特徴とは
独身貴族には、まだ結婚をしていないから独身でいる、という意味の独身生活を送っている人とは違った特徴があります。その特徴とはどのようなものかをいくつかご紹介しましょう。
時間とお金に余裕がある
独身貴族の人たちは、「貴族」というだけあってお金に不自由はしていません。高級ブランドの服を身に着けていたり、度々海外旅行に出かけたりといったように、他人から見てもはっきりと金銭的な余裕を感じさせるという特徴があります。
また配偶者や子どもがいないので、家族の予定に左右されることなく、休日はすべて自分の楽しみに時間を使えるといった時間的な余裕も多いでしょう。
仕事がライフワーク
独身貴族と呼ばれる人たちは、自分の仕事に誇りを持ち、ライフワークのように打ち込んでいます。
今就いている仕事について「生きがい」や「天職」と言えるほど充実しているので、残業やハードワークも苦にならず、それが結果に結びついてかなりの高収入を得ている人も多いでしょう。
ひとりでなんでもできてしまう
独身貴族には誰にも頼らずに、ひとりでなんでもこなしてしまう器用な人が多いのも特徴のひとつであるといえます。
例えば料理や洗濯、掃除などの家事も効率よく高いレベルでこなし、仕事が忙しくて自分でできない場合はサクッと業者に外注する手配も完璧。
こだわりが強い人が多いので、食べるものや着るものなどの自分のこだわりを貫くためなら多少の手間は厭いません。
ライフスタイルにこだわりがある
先ほどこだわりが強いと言ったように、独身貴族は自分のライフスタイルにも強いこだわりがあります。
朝は必ずコーヒーを飲みながら経済新聞に目を通すなど独自のルーティンがあったり、ファッションや食事、インテリアなどは自分好みのものにしか興味を示さなかったりと、自分のライフスタイルがはっきりと決まっていて、それを誰かに乱されることを嫌います。
趣味が多い
独身貴族には多趣味な人が多いのも特徴のひとつです。色々な趣味にチャレンジする時間もお金もあるので、休みの日は趣味に没頭して過ごします。
仕事に打ち込んでいるぶん、オフの日は思い切り自分の趣味を楽しむために時間もお金もつぎ込んでしまうことも。
結婚願望がない
独身貴族がまだ結婚をしていないという意味の独身と全く違うのは、結婚願望がないということ。独身生活を謳歌しているので、今さらその生活を変えることができないと思っているところもあります。
また結婚という制度に縛られることを嫌う傾向があり、付き合っている恋人に結婚を迫られても「今のままの関係でいたい」と拒んでしまい、結果的に別れに繋がってしまうことも多いようです。
独身貴族のメリット
独身貴族が独身のままでいるのは、独身でいるからこそのメリットを十分に得ているからであると考えられます。そんな独身貴族のメリットを挙げてみましょう。
自分の好きなことにお金を使える
結婚をすると配偶者を養ったり生活のためのお金を出し合ったりする必要がありますし、子どもができれば育てるのにもお金がかかります。頑張って稼いできても、自分のために使えるお金は限られてしまいますよね。
その点自分が稼いできたお金を自分のためだけに、好きなように使えるというのが独身貴族の一番のメリットであるといえるでしょう。
マイペースを貫くことができる
結婚をして家族ができると、たいていの場合配偶者や子どもに合わせた生活リズムになります。
ひとりで暮らしていた時のような、休みの前日はお酒と映画鑑賞で夜更かしをして、休みの日はゆっくり昼まで眠るなどのお楽しみができなくなったり、子どもの世話に追われて自分の時間すら作ることができなくなったりして、イライラしてしまうこともあるでしょう。
しかし独身貴族のままでいると、生活リズムを誰かに合わせる必要がなく、誰にも干渉されず好きなことをして過ごせるので、いつも自分のペースを貫いて生活することができます。
趣味に没頭できる
家族ができると休みの日は家族サービスに時間やお金を使うことになり、なかなか趣味の時間を持てなくなります。さらに配偶者が自分の趣味を良く思っていない場合、趣味にお金や時間を使うことを我慢しなければならなくなることも。
海外旅行や車、高級自転車など、お金のかかる趣味にも好きなだけお金や時間を費やせるのも独身貴族のメリットですね。
子育てや配偶者の親戚とのつきあいなどに悩まされない
結婚をして家族ができると、配偶者の両親を始めとした親戚づきあいも一緒についてくるものです。
さらに子どもができればそこにママ友やPTAなど、自分では望んでいなくても付き合わなければならない人間関係がどんどん増えていくことでしょう。
独身貴族は仕事はともかく、プライベートの人付き合いはある程度自分で決めることができるので、ややこしい人付き合いに悩まされることがないのもメリットひとつです。
自由に恋愛を楽しめる
独身貴族は仕事もできてオシャレにこだわりのある人が多いため、はっきり言ってモテます。黙っていても異性が寄ってきたり、趣味の繋がりで出会いの機会もあったりで恋愛に発展する機会も多いでしょう。
結婚をすると配偶者以外の異性と恋愛をすることは不貞行為になりますが、独身の場合は結婚という制度に縛られることなく自由に恋愛を楽しむことができます。
独身貴族のデメリット
独身貴族のメリットを目にすると、「独身貴族っていいなあ」と憧れを抱く人もいるのではないでしょうか。しかしメリットがあるところには必ずデメリットも存在します。
金銭的に頼れる人がいない
独身貴族は自分のためにお金を使うことができますが、その自由に使うお金はもちろん自分で稼ぐ必要があります。
もし自分の勤めている会社が倒産してしまったり、悪い人に騙されて詐欺に遭い、お金をだまし取られてしまったりした時などに、金銭的に頼れる人がいないというのは大きなデメリットです。
病気や災害の時に不安を感じる
突然の病気や災害にみまわれることは、誰にでも起こりうることですよね。
しかし独身貴族にはそんなときに支えてくれたり、励まし合ったりする家族がいないため、病気や災害といった不測の事態が起きたらどうすればいいのかという不安を抱えることがあります。
社会的な信用度が低い
不動産などの営業マンはあえて結婚指輪をしている方が契約を取りやすいと言われているほど、結婚をしている=ちゃんとした人、と思われやすいという社会の傾向があります。
一方で独身貴族は、結婚をしていないということは何か問題がある、無責任に遊びほうけていると思われるなど、本人の資質とは関係なく社会的な信用度が低くなるというデメリットがあります。
孤独感をおぼえることがある
親しくしていた友人たちが次々に結婚をして、子どもが産まれたという写真付きの年賀状が送られてきたり、公園で楽し気に遊んでいる家族連れを見ていたときなどに、ふと孤独感に襲われるという独身貴族もいます。
また周りが家庭を持っている友人たちばかりになってしまい、キャンプやバーベキューなど大人数で行う趣味ができなくなってしまったときに孤独感を覚えることも。
老後に不安がある
家族を持たずに独身のままでいるということは、老後もひとりで過ごさなければならないということです。今は両親や兄弟がいるとしても、いずれは別れの時が来ることは確実にわかっています。
そんなとき、もし自分ひとりが残されたらどうしよう、ひとりでやっていけるのかと不安になることも。
なぜ独身貴族を選んだの?
今独身生活を謳歌している独身貴族の人たちは、そのメリットやデメリットを踏まえたうえで独身貴族でいることを選んだ人たちであるといえます。あえて独身貴族でいることを選んだ、その理由とは何なのかを調べてみました。
自由でいたい
独身貴族を選んだ人たちが一番大事にしているのが、自由です。独身貴族でいればいつも自分の好きなことに時間とお金を使えて、誰からも干渉されず、誰からも縛られることはありません。
自由であるということは孤独であるということにも繋がりますが、たとえどんなに孤独でも、自由気ままに暮らすことを優先したいという理由から独身貴族を選ぶ人が大半であるといえます。
人と暮らすのが苦手
ある程度の年齢になると自分のライフスタイルが出来上がってしまい、今さら誰かと足並みを揃えて暮らすのは無理、と独身貴族を選んだ人もいます。
実家で両親や兄弟と暮らしていた時ですら窮屈でたまらず、早く自立して家を出たという人にもその傾向があります。
また恋人と同棲していたときに、自分の趣味のグッズやコレクションに文句をつけられてから人と暮らすのが苦手になったという人も。
理想が高く、見合った人に出会えない
結婚をするならこんな人がいい、という理想は誰しも一度は描いたことがあるのではないでしょうか。しかしその理想が高すぎる場合、自分がぜひ結婚したいと思える人に出会うのは年々難しくなります。
相手の容姿や学歴、家柄、年収は〇〇万円以上、家事ができるか、貯金はいくらぐらいあるか、など理想の相手を自分の中で決めてしまっていて、それに当てはまる人が現れないので結婚したいと思えず、そのまま独身貴族になったという人も少なくはありません。
周りの既婚者を見ていると、結婚生活に希望が持てない
「結婚は人生の墓場だ」という言葉もあるように、結婚をしても縛られるばかりであまり幸せだと思えない、と独身の人に愚痴をこぼす既婚者は多くいますよね。
そんな既婚者の愚痴ばかり耳にしていると、結婚に希望が持てなくなってしまい、独身でいることを選ぶパターンもあります。
さらに不倫や家庭内別居、配偶者からのDV、モラハラなど、結婚に対してネガティブな話題がSNSや掲示板などインターネット上であふれかえっていることも、結婚に希望が持てない理由のひとつであるといえるでしょう。
独身貴族は優雅で自由だけど、それなりに不安もある!
自由気ままで優雅なイメージを持たれやすい独身貴族。確かに誰にも縛られることなく自由ではありますが、その反面誰にも頼ることができないという不安もあります。
自由を取るか、安心を取るかは自分次第です。
もし独身貴族に憧れを抱いていて、自分も独身貴族でありたいと思うのであれば、たくさんの不安や孤独を乗り越え、何もかも自分の責任で行うと決めて自立する覚悟を決めるところから始めると良いでしょう。






