日本一の繁華街・新宿歌舞伎町では連日派手なシャンパンコールが鳴り響いている。
コロナ禍に関わらず売上が伸びていると語るのは、日本最大級を誇るホスト集団「冬月グループ」YGGDRASILLの代表・帝連(みかど れん)さん、トータルプロデューサー・あまつか雅(あまつか みやび)さんだ。年間数億円を売り上げる彼らは、なぜ歌舞伎町にやってきたのか、売上の裏にある努力とは、夜の世界の全貌を含めて語ってくれた。

左:帝連 右:あまつか雅
YGD総本山『YGGDRASILL』は有名ホスト50名、スタッフ70名を抱える不動の人気店。店内は総工費2億円超えの150坪50席を超える。この店の代表(帝連)とトータルプロデューサー(あまつか雅)。
億を稼ぐ僕らは、小学生の時からホストっぽいと言われていた
ーーお二人がホストを始めた理由は?
帝:もともと周りの友達からホストっぽいってめっちゃ言われて、興味はあったんですけど新宿歩いているときに『ホストどうですか』ってスカウトされて、ありだな〜みたいな。その後連絡して体入してホスト始めたって感じですね。
ーーあまつかさんは?
あまつか:僕も元々興味はあって、小学生ぐらいの時からホストっぽいって言われてたんですよ。
帝:めっちゃ分かります。
ーーお二人とも(笑)
帝:言われましたね。
あまつか:それでホストというものを意識するようになって、18歳になったらホストしようってずっと決めていて、結局21歳になってたまたまSNSでスカウトされて。
ーーSNSですか?Twitter とかですか
あまつか:いや、『ぎゃるる』っていうめちゃくちゃ昔のSNSがあって、それで男から連絡が来て開いてみたら『ホストどうですか』って。
ーー元々石川でホストをされていたとか
あまつか:そうです。
ーー歌舞伎町に来られた理由は?
あまつか:田舎なりにすぐ売れて、どうせやるなら歌舞伎町に行きたいなって。4ヶ月だけ石川でやって出てきました。
ホストのトップに圧倒的な人間性は欠かせない
ーーホストの方々の肩書きってとても細かく分かれていますね
帝:ホストクラブ自体がそもそも売り上げで役職が上がるんです。単純に下から当店で話すと、
役職なし
↓
リーダー
↓
幹部補佐
↓
副主任
↓
主任
↓
支配人
↓
総支配人
↓
取締役
↓
代表
って感じです。売上だけでいける部分が一応幹部補佐までで、幹部補佐以上は内面的な”後輩の面倒をみる”部分が必要とされて、代表が一番上。あまつかさんはちょっと別なんですよね。
ーー代表より上?
帝:上とかじゃなくて、本当一緒ですよね。あまつかさんは元々代表をやってたんです。お店が移転して大きくなるときに、一番大きくしたいからという理由で入ってもらってトータルプロデュースしてもらっています。
ーーいわゆる後輩への教育っていうのはどういうことをされるんですか
あまつか:売上を上げさせてあげる事っていうのはもちろんなんですけど、根本ホストも人なんで、中身が伴ってないと、売上っていうものはついてこないもの。人としての部分の教育とかですかね。少年みたいな感じの従業員ばっかなので笑
ーーなるほど
帝:歳関わらず、がきんちょばっかでみんな可愛いんで笑
あまつか:あとホストってキャバクラとかとは全然違くて、さっきも言ったように、役職とかが上がっていくには、後輩の面倒だけでなくお店についても考えなければいけません・
自分のことだけをやっていけばいいって問題ではないんで、そういったところにも体力・精神面を持っていかれたりする場合もあります。
年間数億円売り上げる僕らのやりがい
ーーホストという職業でのやりがいは?
帝:もちろんお金の部分はあるんですけど、お金以上に、自分が人間として成長するのがやりがいに繋がります。いろんな子と関わって理解すればするだけ、自分の売上自体も上がったり、後輩の面倒の見方が変わったりして、人の見え方が全て変わっていきました。そこが一番楽しいと思った理由かもしれないですね。
それに伴って売上は付いてくるんですよね。自分の成長や人間力の向上が、何千万・何億の売上として返ってくるんです。
ーーずばり年間の売上聞いても良いですか
帝:2億5千万円
ーーすごい。あまつかさんも聞きたいです
あまつか:1億3千万円ですね
ーーお二人とも億超え… 売上を更新しなければいけない重圧ってありますか。
あまつか:僕、別にそこまで毎年更新していかないとという気持ちはないんですけど、出来る限りは店のためにと思ってます。帝:僕は毎年一応更新してるんで、今年もいくらとかは決めています。
ーー目標?
帝:3億は目標っていうか絶対行くんで、4億が目標なんですけど。プラスうちの店って一応、歌舞伎町では一番店売りがあるのでトップを守り切らないとなっていうのは。今代表になったんでありますね。
ーーコロナ禍でも売上が伸びていることに驚きです
帝:コロナが始まった2、3ヶ月は、やばいかなってなったけど、そっからはむしろ伸びていますよね。
あまつか:飲食店とかいわゆる居酒屋さんとかがやってないから、お昼の普通の人たちがホストクラブに来る機会は増えたと思います。今までよりお客さんのジャンルの幅は広がりましたね。うちの店だけじゃなく歌舞伎町全体の売上が相当上がってます。
売れっ子ホストの美容事情とルーティーン
ーーセルフプロデュースはどのようなことを?
あまつか:美容にはめっちゃお金かけてますね。
帝:美容はそうですよね。もちろんいろいろやってます。
ーー具体的には?
帝:僕は週1くらいで美白点滴と、脂肪燃焼なんとかと、にんにく注射と、ビタミンとか全部やってます。まとめて1個の点滴にして全部やっちゃってます。やんないとちょっと体力持たなくて。あとSNS も全部やってますよね。 SNSやってるのは、売ってる売ってないじゃなくて、下の子も全員やってますよね。Twitter、インスタは最低ラインです。
ーー営業前後のルーティンとかってあるんですか
あまつか:営業前だったら僕は、タクシーでいつも出勤するんですけど、タクシーの中で音楽を聞きますね。
ーー何の音楽ですか
あまつか:僕はひたすらにジョジョの…
ーージョジョ…
あまつか:ジョジョの5部の敵倒すってとこのBGMみたいなのがあるんですよ。それを聞いてテンションをあげるのが僕のルーティーンです
ーー帝さんは?
帝:僕めっちゃ不規則じゃないですけど、寝る時間も起きる時間も超ランダムなんで、日によって用事が違いすぎて。なので特にルーティンはないですね。
ーー疲れた時の癒しは?
帝:湯船に入れる時間があったら、10分でも5分でもなんでもいいんですけど、お湯を沸かして入ってます。それは絶対やるかも。
歌舞伎町は裏切りの世界
ーー職業病ってありますか
あまつか:職業柄の悩みは、昼にあんまり行動、僕ができないんですよ。昼夜逆転してるんでそもそも。だからなんか病院とか行くのも結構きついですね。
帝:僕、全然行ける笑
ーー行けるんですか笑
帝: はい。僕の悩みは昼夜逆転とかじゃないですね。どんなことに対しても「どうせ」ってなっちゃうことです。どうせ裏切られるんだろうなっていう感覚は常にあるかもしんないです。
ーーいわゆる人間不信?
帝:そうですね。ちゃんと信じるんですけど、どっかで一応ね。
あまつか:自分を守るため。
帝:そう、自分を守るために「どうせ」って思っとかないとなっていうのが結構強いです。
ーー過去に裏切られた経験が?
帝:無限に裏切られるんですよね、ちっちゃいことでも。ホストじゃなくてもあると思うんですけど、多少人より多いかなみたいな。
あまつか:まあ、歌舞伎町は多分多いですね。
ーー特に印象的な経験や裏切りはありますか
帝:ありすぎますよね。全部忘れるしかないので忘れてます僕は。
ーーどうやって忘れますか
帝:仕事を頑張るみたいなところしかなくないですね。時間が経てば、ありがとうございますって忘れます!
今後の展望と野望
ーーお二人の展望と野望は?
帝:僕自身は、歌舞伎町でまず一番の売上を叩き出したいってのが個人的な目標。店売りが何億ってあるんですけど、多分誰もやったことないとこまで持って行きたいってのが一番の目標ですね。
あまつか:僕もいくら売りたいとかそういうのはないってさっき言いましたけど、いけるところまではいきたいっていう気持ちはずっと抱いています。
でもその中で、ホストの本質と言いますか、自分なりの美学で、ダサい男がめっちゃ嫌いなんですよ。卑怯な男とか。例えば思ってもないこととかを口にして、女の子を騙し、売上を上げるとか、そういった行動は絶対にしたくないです。うちの従業員達にも、そういうことはしてほしくないのでしっかり育てていきたいです。
最後に
ホストクラブという夜の世界で輝く彼らは”裏切り”と”売上”の狭間で揺れ動く。そんな売れっ子ホストたちが口を揃えて言うのは「後輩の育成」。自己中心的に稼ぐホストは一流にはなれない。人間力を磨き周りをも輝かせる、そんなホストが後輩からも女性たちからも愛されるのだと、2人から感じることができた。これから不安定な情勢の中であろうとも、彼らは女性たちの心の拠り所になり続けるだろう。






