「わかりました」は敬語の一種ですが、目上の人に使うと失礼にあたります。
そのためビジネスでは、敬語の中でも相手を立てる意味合いを持つ謙譲語を利用するべきでしょう。
本記事では敬語「わかりました」の使用方法と、ビジネスで使える表現についてまとめました。
使用例についてもまとめたので、メールや実際の口頭での受け答えに困っている方はぜひ最後までご覧ください。
「わかりました」は目上の人には使用NG?
「わかりました」には尊敬の意味は込められていないため、目上の人には使用を控えたほうが良いです。
「わかりました」とは理解を示す「分かる」と、助動詞「ます」の過去形である「ました」が組み合わさった言葉です。
丁寧な言い回しではありますが尊敬の意はありません。
目上の人に使うと失礼に当たるので、次の章を参考にして、言い回しを変えていきましょう。
「わかりました」の敬語は?
「わかりました」と同義である敬語は、主に以下の4種類です。
- 了解しました
- 承知しました
- かしこまりました
- 承りました
ひとつずつ、意味を確認していきましょう。
了解しました
「了解しました」も「わかりました」と同じように、理解を示す「了解」と助動詞「ます」の過去形である「ました」が組み合わさった言葉です。
丁寧な言い回しではありますが尊敬の意味はないため、一般的に目上の人に使うのには適していません。
「了承しました」も同様です。
ただし少し工夫すれば目上の人に使って問題ケースがあるので、詳細を知りたい方は次の章『「了解しました」は目上の人に使うのはNG?』をご覧ください。
「承知いたしました」「かしこまりました」よりもフランクで、身近な先輩や同僚、目下の人に使われるフレーズです。
承知しました
「承知(しょうち)しました」は理解を示す丁寧語「承知」と、謙譲語「承る」と「いたす」、丁寧語の「ます」が合わさった言葉です。
承知自体は丁寧語ですが、相手を立てる謙譲語の「承る」「いたす」が入っているため目上の人にも使えます。
主に以下の3つの場面で使われる言葉です。
- 事情を理解できた
- 相手からの要望を聞き入れられる
- 相手の事情を受け入れ許す
「承知」のみの利用だと失礼に当たるので、「承知しました」もしくは「承知いたしました」と使うようにしましょう。
かしこまりました
「かしこまりました」は「承知しました」よりも丁寧な言い回しで、よりフォーマルなフレーズです。
接客用語のひとつで、クライエントとのやり取りにも使えるフレーズになります。
謙譲語である「畏(かしこま)る」と丁寧語「ます」が合わさった言葉で、「わかりました」とは違い目上の人に使える言葉です。
また「かしこまりました」には、目上の人からの要望や依頼を前向きに検討するニュアンスもあります。
承りました
「承(うけたまわ)りました」も「わかりました」と同じ意味のフレーズで、主に要望や依頼を受ける、引き受ける、聞くなどの意味合いがあります。
相手の発言に理解を示すよりも、相手から依頼されたときに使う伝聞の意味合いが強いです。
クライアントに対して使われるケースが多く、社内の先輩や上司に使われるケースは少ないといえます。
「了解しました」は目上の人に使うのはNG?
「了解しました」は目上の人に使うべき言葉ではありませんが、「了解いたしました」であれば使っても問題ありません。
一般的に「了解」が入っている言い回しはNGとされていますが、きちんと謙譲語「いたす」が使われていれば失礼には当たらないです。
しかし今では「『了解』を使うこと自体が失礼に当たる」ことが常識となりました。
多くの企業では、「承知いたしました」「かしこまりました」を利用するように指導されるのが現状です。
そのため「了解」が含まれたフレーズは、目上の人に使わないほうが安心でしょう。
なお了解が失礼にあたるようになったのには諸説あり、「軍人のイメージがあり冷たい感じもあるから」「敬われている感じがしないから」などがあげられます。
それぞれの言い方の例文チェック
次は「わかりました」の別の言い回しでご紹介した、4つのフレーズの例文をチェックしていきましょう。
いくつか例をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
「了解しました」の例文
「了解しました」は「わかりました」と同義であるため、同僚や目下の人に対して使います。
「了解いたしました」は謙譲語になりえますが、現在は失礼にあたるとされるため使わないほうが無難です。
- 同僚「こちらの書類ですが、可能であれば明日18時までに確認お願いいたします。」
例:「了解しました。確認いたします。」 - 同僚「〇〇株式会社の××様に、こちらの件についてご連絡していただいてもよろしいでしょうか?」
例:「了解しました。今日中に連絡しておきます。」
「承知しました」の例文
「承知しました」は「わかりました」とは違い、目上の人にも利用できるフレーズです。
「承知いたしました」のほうが、より丁寧な言葉となります。
- 上司「明日15時からのミーティングに参加してほしいのですが、よろしいでしょうか」
例:「承知いたしました。」 - 上司「締め切りの変更で、可能であれば資料を明日の18時まで仕上げていただきたいと考えています。」
例:「明日18時締切とのこと、承知しました。」
「かしこまりました」の例文
「かしこまりました」も「承知しました」と同じく、目上の人に利用できるフレーズです。
「承知いたしました」よりも、より相手を敬うフォーマルな言葉遣いになります。
- お客様:「こちらSサイズをお願いしたいのですが……」
例:「かしこまりました。ただいまご用意いたしますので、少々お待ちください。」 - 上司:「会場の手配をお願いしたいです。」
例:「かしこまりました。手配いたします。」
「承りました」の例文
「承りました」は目上の人にも使えるフレーズで、基本的には相手の要望や依頼を受け入れたり聞いたりするときに使います。
社内の先輩や上司には使われず、お客様相手に使われる言葉です。
- 取引先の人:「営業部の山田様はいらっしゃいますでしょうか?」
例:「残念ながら山田は席を外しております。私でよろしければ、ご用件を承ります。」 - お客様:「103号室にお茶をお願いしたいのですが」
例:「103号室にお茶ですね。承りました。少々お待ちください。」
まとめ
「わかりました」は丁寧語であるため、目上の人やお客様に対しては利用できません。
なお「了解」が入ったフレーズは、一般的に使わないほうが良いとされています。
基本的には「承知しました」「かしこまりました」を利用し、クライアントなどの要望を聞くときは「承りました」を使いましょう。






